土ドラ『最高のオバハン中島ハルコ』のPが語る、地方発ドラマを楽しむ3つの心得! 映像、名産、もう一つは?

ドラマ

資料提供=東海テレビ放送

今、岐阜がアツい! 2022年11月、岐阜県岐阜市で開催された
「ぎふ信長まつり」には来年公開の映画のキャストが登場。
来場者は岐阜市の人口を超える46万人を記録しました。
さらに民放ドラマでは3作品が岐阜を舞台にしています。
松重豊主演の「孤独のグルメ」では11日深夜放送の第6話で下呂市に、
同じテレビ東京系の「自転車屋さんの高橋くん」も大垣市でロケをしています。

大地真央主演・土ドラ『最高のオバハン中島ハルコ』もそんな岐阜ロケドラマのひとつ。
岐阜やご当地・愛知の情報番組としても楽しめると話題ですが、今、なぜ岐阜なのか?
その理由を東海テレビ・松本プロデューサーに聞いてみました。

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きっかけは黒澤映画!テレビドラマの役割とは?

――第一弾は愛知が舞台、今回はなぜ隣の岐阜が主舞台に?
「やはり地元(東海テレビは愛知・岐阜・三重が放送圏)の魅力を全国に届けたいという思いが強かったです。第一弾で愛知を舞台にしたので、次は岐阜か三重か。調べる中で、岐阜には地元の方にもあまり知られていないいろいろな伝統や文化、祭りなどがあることが分かりました。鵜飼いなど有名なものでも、詳しく知られていないことも。このまま放っておけばなくなってしまうかもしれない文化や職人さんたちの思いを知り、今撮らなければと今回は岐阜を舞台にさせていただきました。
「絶滅危惧種の伝統文化」にスポットを当てるため、脚本の西荻さん(西荻弓絵「妖怪シェアハウス」「民王」「SPEC」など)と相談しながらストーリー作りをしましたが、台本作りはまず取材ありき。今回は全10話ですが、取材先は10件どころじゃなく、けっこう大変でした(笑)。でもリアルを知らなければ、エンタメに落とし込むこともできないので、必要な時間だったと思っています」

――地方を舞台にするメリット、デメリットは?
「メリットは何と言っても絵力が格段に上がること。日本にはまだまだ素敵なロケーションがたくさんあり、映像を生業にしている身としては少しでも多くの景色を映像に残したいと思っています。別の作品でのことですが、物語制作の参考のために黒澤明監督の戦後すぐの作品「野良犬」「酔いどれ天使」を見たんです。ストーリーが面白いのはもちろんだったのですが、それ以上にすごいと感じたのが、戦後すぐの日本の街並みが映像として残っていること。記録映画としての観点から見ても素晴らしい作品だったんです。そこから、自分の意識も変わって……。

 昨年放送の『その女、ジルバ』は、主役の笛吹新が福島出身の設定でしたが、ドラマでもどうしても福島の映像を撮りたく、制作会社のプロデューサーに無理を言ってロケを実現してもらいました。震災から10年という節目の福島をどんな形でもいいから映像として撮っておきたかったんです。たまたま相談したプロデューサーが福島出身で、同じような思いを持っていたのも心強かったです。ただ完全に制作者の自己満足ですし、自慢するようなことじゃないですよね。ただ、何年か、何十年かしていつか誰かが「ジルバ」を見た時に、「これが10年目の福島か」と一瞬でも感じてもらえたら……そういう意味で、『最高のオバハン中島ハルコ』では「岐阜の今」をなるべく映像として残せるよう、いろんな場所に撮影でお邪魔しています。

 デメリットに関しては、一番の負担はスタッフ・キャストの移動や宿泊に費用がかさむことです。今回のドラマも他の番組とほぼ変わらない予算の中で作っています。なので本来なら、地方ロケなんてできるはずがない(笑)。でも、市や町の方々に協力をいただけることで、他でかかる予算を圧縮、何とか撮影を進めることができました。地元の方々の熱量が毎回すごくて・・・役所や地元の方のマンパワーが地方ドラマを支えてくれているのは間違いないですし、ご協力には感謝しかないです」

一過性で終わらせない・・・ 家族のような関係に

――第8話は愛知県幸田町が舞台ですが、その理由は?
「「第二弾」は岐阜編ということで、ほぼ岐阜県内で撮影をしていたのですが、もう一つやりたいことが、第一弾でお邪魔した地域の1年後もドラマで登場させたいということでした。どんなドラマも一過性のものではなく、そこに生きている人や文化は連綿とつながっているということも表現したくて・・・なので、第1弾で登場した愛知県蒲郡市と幸田町に今回もお邪魔しました。第2弾ということで地域の方との連携もスムーズで(笑)、もはや家族のような関係で撮影させていただけました。

幸田町は第1弾の最終章で、町おこし詐欺の舞台になったのですが、今回はそこから違う道を選んだ地域の新たな問題をテーマにしています。あくまでフィクションなので、実際に起きていることとは違いますが、全国的な問題になっている「空き家問題」をテーマに、「お金」についてハルコさんが持論を展開するストーリーになっています。もしかしたら今シリーズの中で一番身近なテーマかもしれないので、登場人物の誰かに感情移入しながら見ていただければと思います」

――そんな地方発ドラマを楽しむコツは?
「まずは監督、カメラマンがこだわりにこだわりぬいたロケーションと映像美を堪能していただくこと、でしょうか。コロナもあり、旅行を控えていた方も多いと思うのですが、だからこそ、民放のテレビ番組という簡単に手が届くメディアで旅行気分を味わってもらえるのも地方発ドラマの魅力だと思っています。あとは、地元の名産品を知ること。ネット社会だと自分の興味のあることしか知識として増えづらいと思うのですが、テレビなら興味がなくても目に入ってくる。

 第1弾ではドラマに登場した名古屋のお菓子が、放送直後からネットで話題になりました(名古屋銘菓の生しるこサンド(松永製菓)がドラマに登場。一時完売する状況となった)。狙ったわけではなかったのですが、そういう楽しみ方ができるのもテレビドラマの魅力なのかなと再認識しました。今回も実在のお菓子や料理をふんだんに取り入れています。隠れた名産品はまだまだあるので、そこも楽しんでいただけたらうれしいです。

あとは長期宿泊によるキャスト、スタッフの一体感が映像にも表れているので、そこも楽しんでいただければと。撮影の4か月間、ほぼ合宿状態なので「普通ならそんな芝居思いつかない!」というような面白いシーンがいっぱい撮れています。大地さん演じるスーパーマダム・中島ハルコは第2弾でさらにパワーアップしているので、ぜひ楽しんでいただければうれしいです。

松本圭右:東海テレビ プロデューサー 2001年入社。
主な担当作品「その女、ジルバ」「准教授・高槻彰良の推察」
「僕の大好きな妻!」「ウツボカズラの夢」

【第8話あらすじ】
8話のテーマはお金。菰野地方創生大臣(南圭介)を中心とする海藤(佐野史郎)派の肝煎り政策『若者自然村』に「無駄な税金を使う匂いがプンプンする」と怪しむハルコ(大地真央)。そんな中、大谷(合田雅吏)の叔母が投資に失敗した一報が入る。早速いづみ(松本まりか)に潜入調査させるハルコ。東京から来ていた赤尾亮太(増田修一朗)ら3人の青年とシェアハウスで同居する中、いづみも投資を勧められて・・・。一方ハルコは、店を畳もうとしている頑固な畳職人・乾(長江英和)と出会う。機械が故障し直す金がないという乾に対し、ハルコが下す決断は?
《番組情報》
【出演】大地真央 松本まりか 合田雅吏 蕨野友也 飯田基祐 今野浩喜 佐野史郎
【8話ゲスト】長江英和 増田修一朗 ほか
【放送日時】2022年11月26日(土)23時40分~24時35分
【原作】林 真理子 『最高のオバハン』シリーズ(文春文庫刊)
(『最高のオバハン 中島ハルコの恋愛相談室』
『最高のオバハン 中島ハルコはまだ懲りてない!』)
【脚本】西荻弓絵
【音楽】鈴木ヤスヨシ
【主題歌】ENHYPEN「Make the change」(ユニバーサル ミュージック)
【オープニング】大橋ちっぽけ「ソリスト」(ユニバーサル ミュージック)
【監督】渋谷未来(ジ・アイコン) 金子与志一 山田信義
【プロデューサー】松本圭右(東海テレビ) 古林都子(ジ・アイコン)
【制作著作】ジ・アイコン
【制作】東海テレビ

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